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 この治療法は、私の鍼灸学校時代の恩師で、東京の太子堂鍼灸院院長・小林詔司先生が始められたものです。現在は臨床のかたわら、積聚会の会長としての講習会や、私が講師をしている北海道ハイテクノロジー専門学校での特別講義などで後進の育成もされています。

 私は24年前、母の突然のリウマチの発病をきっかけに、病院での治療では変化のなかった母の症状が鍼灸治療で良くなっていく事に興味を持ち、鍼灸学校に入学しました。当時は西洋医学に対する不信感が強く、『東洋医学は凄い』という印象ばかりでした。

ところが…

はりやもぐさは道具のひとつ。どのような考えでツボに使うかによって、その治療は西洋的にも東洋的にもなります。痛い所にはりや灸をするのであれば、痛い所にシップや注射をする西洋医学と同じことです。
その人の症状や感じ方を知ることが大切。人それぞれ、十人十色ですから、病気を診るのは病名でなく、その人(心も体も生活環境もすべて)を診ることが大切です。『○○病だから○○のツボ』とか『このツボは○○に効く』ということではありません。
人は頭や胴体、手足をくっつけて出来たのではなく、もともとはひとつの卵。人の心も体も『気そのもの』です。この世の全てのものは『気』でつくられているという東洋的な見方が大切です。

「はり」や「きゅう」や「ツボ」を使う治療は『何でも東洋医学!』と思っていた訳ですから、先生との出会いは衝撃的でした。

 
   東洋医学では痛い部分、つらい症状だけでなく、全身が診断や治療の対象になりますが、特に『お腹』にその状態が現れます。『お腹の硬さ、痛み、動悸、冷えなど』を『積聚(しゃくじゅ)』といい、気のかたよりを調べ、治療で体が温まったかどうかを知るのに大変重要なものとなります。  
 

 『気』で出来ているもの(この世に存在するもの)は常に変化しています。長い目でみると、『形のあるもの』はいつかは壊れる。『人』も生まれて、年老いて『死』を迎えます。
その人の一生でいえば、『気のかたより』のない健康な状態を『元気』といい、『気がかたよる・滞る』状態を『病気』といいます。

 では、なぜ『気がかたよる』のでしょうか?
「水」を冷やしていくとやがて「氷」という固まりになります。人は元気で生きている状態では、『温かい・軟らかい』状態ですが、冷えると体は硬くなり、動きが悪くなる、病むというように、体に『冷え』を生じると様々な症状がでてきます

 
 

 究極の冷えは『死』です。生きている人は温かく、死んだ人は冷たい。この世に生命のあるものはみな温かくなければ生きていけません。温かい状況をくずす『気のかたより=病気』を『冷え』とみる訳です。

 この『冷え』は、単に温度が低いからとか、冷房で冷えたというだけでなく、その人の持って生まれた先天的な力や、生まれてからの生活習慣など様々なことが影響します。
妊娠中のお母さんの体調も、お腹にいた時(逆子など)から出生時(難産など)の状況も関係します。
そして、生後から今までの大きな外傷や飲食(冷たい食べ物・飲み物・生もの・果物の摂りすぎ)、不摂生、ストレスなど…体の働きを低下させるものすべてが『冷え』の原因となります。

 
 

 気の異常である『冷え』を取ることが積聚治療一番の目的です。

『鍼をすること』=『体が温まること』=『冷えが解消されること』=『気の異常がなくなる』=『元気になる』を実感して頂けるはずです。

 最後に、「生きる」ということは、自分の体を自分で判断する能力を身につける、「自律」することです。治療では病気を元気に戻すことになりますが、自分の自然治癒力や免疫力を高めるのは日々の生活次第とも言えます。「冷えの元を作らない、増やさない」は自分で気づき正していくしかありません。
その手助けとなる治療とアドバイスを出来るのが積聚治療です。